2025.02.03 | おしらせ今月の園だより

2月園だより

「言葉の持つチカラ」

「わたしたちは舌で、父である主を賛美し、また、舌で、神にかたどって造られた人間を呪います。同じ口から賛美と呪いが出て来るのです。わたしの兄弟たち、このようなことがあってはなりません。」

(ヤコブの手紙3章9−10節)

園長 塚本 吉興

「ねえねえ、園長先生、これ見て!」とゆり組の男の子が声をかけてきました。見ると、鳥の綿毛です。「あ、鳥の羽だね。ハトかなぁ、ムクドリかなぁ、ここに落として行ったんだね。」と言うと、「違うよ。これはね、小人の帽子についている羽根なんだよ。小人は、帽子の両側に羽根がついてるんだよ。」と教えてくれました。「小人の帽子ですか?!」そりゃそうやん。何でこんな簡単な当たり前のことを思いつかなかったんだろう?小人の帽子と言えば、白雪姫の小人の帽子や「ゼルダの伝説」のリンクの帽子を思い浮かべましたが、羽根はついていなかったような・・・でも、ムーミンのスナフキンの帽子には羽根がついていたかな・・・?そもそもリンクやスナフキンは小人だったっけ?「小人の帽子」という一つのワードで想像が広がります。すぐにでもGoogle検索をしたい気持ちを抑えつつ、「ふ〜ん。」と考え込んでいるうちに男の子は、お山の方へ遊びに行ってしまいました。

言葉は不思議です。誰かの一言で考えさせられたり、勇気を与えられたり、慰められたりします。でも、誰かの何気ない一言で傷ついたり、自信を失ったりすることもあります。言葉は気持ちを表し、情報を伝え、想像を広げます。言葉は、励まし、慰め、力を与えます。「ありがとう」、「ごめんね」、「大好きだよ」、「いっしょに遊ぼう」、「大丈夫?」・・・優しい言葉は優しい気持ちを伝えます。

アメリカで1月の第三月曜日は、Martin Luther King Jr. Day(キング牧師記念日)の祝日です。キング牧師は、黒人差別の激しかった1950〜60年代のアメリカ南部で黒人の差別撤廃を求めて非暴力で抵抗運動を行なった公民権運動の指導者であり、キリスト教会の牧師です。歴史の教科書に必ず登場する人物で、英語の教科書にも「わたしには夢がある」というスピーチが載っていたのではないかと思います。キング牧師が語った言葉に「闇によって闇を追い出すことはできない。それは光にだけできる。憎しみによって憎しみを追い出すことはできない。それは愛にだけできる。」というものがあります。「売り言葉に買い言葉」という言い回しもあるように、憎しみはさらなる憎しみしか生みません。車で煽られた人が、煽り返したら、その先には交通事故の未来しかありません。憎しみに愛で返す。こんなことはできるでしょうか。その昔、福岡中部教会の礼拝堂の窓ガラスが教会の教えに反対する人の投石によって割られたことがありました。その人はすぐに逮捕されたのですが、当時の教会の牧師は、警察に寛大な処置を求めるとともに、留置場にいたその人に聖書を差し入れたそうです。聖書は「神を賛美する口で、人を呪うこと」の理不尽さを語ります。

普段、どのように子どもに声をかけているでしょうか。歴史に残るような言葉でなくても、子どもたちに自信を持たせ、勇気を与え、世界って素晴らしい、命は大切だ、と思えるような声がけができているかなぁ、と反省しきりです。想像の羽根を広げて、子どもに寄り添っていきたいと思います。

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