「ごほんよんで~!」
「聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。あなたは心を尽くし、魂を尽くし、
力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。今日わたしが命じるこれらの言葉を心に留め、
子供たちに繰り返し教え、家に座っているときも道を歩くときも、
寝ているときも起きているときも、これを語り聞かせなさい。」(申命記6章4-6節)
園長 塚本吉興
わたしの母は、幼稚園の先生でした。だからと言うのか、家の本棚にはたくさんの絵本がありました。小さい頃、あまりテレビを見る習慣の無かった我が家では、母が私と2歳上の姉に絵本を読んでくれました。よく母に「ごほんよんで~!(我が家では「本は踏まない」、「本はごほんと呼ぶ」と言う不文律がありました)」とねだったものです。そんな中で、心に残っている絵本が3冊あります。1冊目は『しょうぼうじどうしゃじぷた』。じぶたは、はしご車ののっぽくん、高圧車のぱんぷくん、救急車のいちもくさんに比べて、何も自慢できるところがない、ジープを改造した小さな消防車です。消防署に来る子どもたちもじぷたの前では誰も立ち止まりません。でも、山火事が起きた時、険しい山道を登って火を消しに行くことができたのはじぷただけだったのです。この絵本は今でもわたしの書棚にあって、時々開きます。2冊目は、谷川俊太郎さんの『よるのびょういん』という絵本。お腹の痛くなった男の子が救急車に搬送されて、盲腸であることが分かり、緊急手術を行うという物語を絵の代わりに、白黒の写真で構成したものです。特に、手術室の場面は、手術室のライトと二人の執刀医を見上げるという視点から撮影されていて、自分がその物語に入り込んだような緊迫感があり、読むたびに胸がドキドキする、怖い本として覚えています。3冊目は、『わたしのワンピース』です。姉が好きで、よく読んでもらっていましたが、わたしも一緒に聞いて、「ミシン カタカタ、ミシン カタカタ」や「ラララン、ロロロン」という語感が好きで、草の実もようになったり、小鳥もようになったりするワンピースに心が躍る思いがしました。この絵本は、うちの子どもたちにも読み聞かせをした本で(寝る前に読むのにちょうど良い長さと内容!)非常に思い出深いものでもあります。
イスラエルの民は、神さまから与えられた御言葉を子どもたちに語り伝えるように命じられました。自分たちは何者で、どこから来て、どう生きて来たのかを次の世代に受け継いでいくためです。そこで、神さまをあがめ、全霊全身をもって「あなたの神、主を愛しなさい。」と教えられました。それは、まず神さまが、わたしたち人間をまさに全力で、無条件に愛してくださったからです。他の聖書の箇所に「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。」(ヨハネによる福音書3:16)と記されています。イエスさまがこの世界に来られたのは、神がわたしたちを愛されたからです。そして、そのことを教会もまた、子どもたちに語り伝えていくのです。
絵本を読み聞かせることは、わたしたちが大切にしてきたこと、愛や希望や勇気や優しさを、生きることの素晴らしさや感謝を、子どもたちに伝え、また、子どもたちがそれを次の世代に伝えていく橋渡しをすることでもあります。それは分かっていても、日々の忙しさの中で、中々読み聞かせができないということもあります。スマホを手渡す方が簡単です。でも、お母さんやお父さんのひざに座って本を読んでもらう、寝る前に一緒に寝転んで本を読んでもらう。これ以上に親密な、あたたかい時はありません。そして、子どもたちはいつまでも「読んで~!」と来てくれるわけではありません。だから、ゆったりと、繰り返し、一緒に泣いたり笑ったりしながら、絵本を読み聞かせることができる今の恵みの時を大事にしたいと思います。
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