2022.11.01 | おたより今月の園だより

11月 園だより

「昼、主は命じて慈しみをわたしに送り、夜、主の歌がわたしと共にある

わたしの命の神への祈りが。」

(詩編42 編9 節)

園長 塚本 吉興

長い間、関西の朝の声と言えば「おはパソ」の道場洋三さん、「ありがとう」の浜村淳さんの双璧でした。道場洋三さんは、熱心な阪神タイガースファンで知られ、放送の中、「スポーツの話題」のコーナーでは、前日、タイガースが勝利した日には、「六甲おろし」を熱唱していました。それにつられて、ラジオを聴いている人みんなが「六甲おろし」を口ずさんで、あるいは、大声で歌っていたのではないかと思います。それだけ道場洋三さんの声も、六甲おろしも関西人の生活の一部であり、心のよりどころであったのです。道場さんの作詞作曲で「新しい朝」という歌があります。毎日、ラジオで新聞の社会面を紹介・コメントし、また、阪神大震災という出来事を経験した人だからこその歌であると言えます。歌詞は「喜びの隣りには、悲しみのあとがあり、悲しみの向こうには、喜びの声が聞こえる。見えるものの隣には、見えないものが微笑み、気付くものの隣には、気付かないものがある。
生まれた喜び、育つ楽しみ、巣立ちの中、歌ってる。どんなに辛いときにでも、いつもの朝が来る。
ただ、生きている それだけでいい。ただ、生きている それだけでいい。ただ、生きている それだけでいい。朝は、いつも新しい。」サビだけ聞くと、「なんちゅう歌やねん!」と突っ込みを入れたくなりますが、生きていることは当たり前ではなく、当たり前に朝を迎えられることがどれだけ素晴らしいことか。そんな思いが伝わってきます。

うちの次男の小学5 年生の時の野間先生は、子どもたちに大人気の先生でした。理科が専門で、色々と楽しい実験を授業でしたり、フルートが上手でクラスの子の誕生日には「ハッピーバースデー」を演奏してくれたり、休み時間には運動場に出て子どもたちと遊びました。ただ、体は弱く、早退されることも時々ありました。この先生が、子どもたちに一番大切なこととして、いつも伝えていたのが「生きる」ということでした。勉強が出来ることでも、サッカーやピアノやスイミングで優れた成績を残すことでも、身の回りのことが完璧にできることでもなく、生きること。先日亡くなった“燃える闘魂”アントニオ猪木さんのよく知られた言葉に「元気があれば、何でもできる!」というものがあります。
元気があれば、生きていれば何とかなる。勇気を与えられる言葉です。

9 月から10 月、幼稚園の子どもたちは、こどもまつり、うんどうかい、おいもほり、一泊保育(ゆり組)と多くの行事を経験しました。一つひとつのことを通して、子どもたち一人一人がよく考え、大きく成長しました。先日も、保護者の方から、「お泊り保育でみんなでご飯を食べてから、家でもモリモリと食べるようになりました。」と伺いました。たった一日の出来事でも、子どもたちはスポンジのように色んなことを吸収して、親が驚くほどのスピードで、ぐんぐんと成長しているのです。そんな中で、私たち親ができることは何でしょうか。これからもっと大きくなると、子どもに駆けっこでついて行くことはできず、数学の知識も錆びついて宿題の手伝いもできません…。でも、「あなたのことを愛しているよ。大好きだよ。」とギュッとできるのは親だけなのです。自分と言う存在を無条件に受け入れてもらう経験というのは親や家族からしか学べないのです。そして、それは、子どもたちが安心して世界に飛び出して行く上で欠かすことができません。「生まれた喜び、育つ楽しみ、巣立ちの中、歌ってる。」生きている。それだけでいい、のです。それでは、ご一緒に、「1、2、3、ダァー!!」

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