2023.06.08 | おたより今月の園だより

6月園だより

カエルの歌が♪

「あなたがたの中に、百匹の羊を持っている人がいて、その一匹を見失ったとすれば、

99匹を野原に残して、見失った一匹を見つけ出すまで捜し回らないだろうか。」

(ルカによる福音書15章4節)

園 長 塚本吉興

梅雨に入りました。雨が毎日のように降り、ちょっと田舎に行けば田んぼには水が張られ、田植えが着々と進んでいる様子を見ることができます。そして夜、耳を澄ませばカエルの合唱が聞こえてきます。最近、田んぼのカエルの鳴き声がうるさいので、何とかして欲しいという苦情が農家さんに宛てて書かれていたというニュースがありました。カエルはどうしても鳴くものです。静かな夜にはカエルの合唱がうるさく聞こえることもあるかも知れません。でも、それを季節を感じさせる音としてではなく、騒音と感じるところに現代のわたしたちの自己中心性が表れているのかも知れません。町を行く多くの人がヘッドホンやワイヤレスイヤホンで音楽を聴いています。それらはノイズキャンセリング機能が付いており、車や電車や人混みの「騒音」をシャットアウトすることができるようになっています、自分の好きな音楽に集中できるように。しかし、その音楽も満員電車で隣に立っている人の耳元からシャカシャカと聞こえてくれば、これも立派な騒音です。わたしたちは自分の聞きたい音だけを心地よく感じ、それ以外は排除されるべき騒音と認識しているのかも知れません。

カエルの歌の童謡は、「カエルの歌が聞こえてくるよ。クワ、クワ、クワ、クワ、ケケケケ、ケケケケ、クワクワクワ♪」という歌詞で、元はドイツ民謡だそうです。世界のどこでも、初夏、夜の静寂に響くカエルの合唱は決して騒音ではなく、夏の訪れを告げ静かな夜にアクセントを与える自然の歌声であったのです。こんななぞなぞがあります。「おすのカエルはグワッグワッと鳴いて、めすのカエルはケロケロケロと鳴きます。では、子どものカエルは何と鳴くでしょう?」「・・・・・。」「答えは、カエルの子どもはおたまじゃくしなので鳴かない。」でした。でも、かこさとしさんの「おたまじゃくしの101匹ちゃん」では、カエルの子どもたちは元気に「うわーん!えーん!」と泣きます。お話の中では、おたまじゃくしの101ちゃんが迷子になります。101匹もいても、皆がお母さんカエルにとっては、大切な我が子です。101ちゃんを見つけるために、お母さんは池の奥、暗く深い水草の林の中に入って行きます。そこには恐ろしいタガメやザリガニがいました。捕まってしまったお母さんを助けに100匹のオタマジャクシが駆け付けるというお話です。

聖書には100匹の羊を持っている人が登場するたとえ話があります。その内の1匹がいなくなったら、99匹を置いておき、その1匹を見つけるまで探し回らないだろうか、と聖書は問いかけます。わたしたちからすれば、そんな99匹を残して1匹を探しに行くなんて考えられない、と思うかも知れません。しかし、カエルのお母さんが一匹の子どもを探しに行ったように、神は、わたしたち一人ひとりに愛を注いでくださっているのです。そのありがたさは、わたしたちが自分を99匹の側にではなく、道に迷った1匹の側に置くときに深く感じられるのです。迷子になって泣いている自分を羊飼いなるイエスさまが、子を見つけるまで決してあきらめない母親のような優しさと強さを持って、探し出してくださるのです。今日もそんな大切な一人ひとりが集まった幼稚園の一日が、どこからか聞こえてくるカエルの歌と共に始まります。

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