2023.12.04 | おたより今月の園だより

11月園だより

「ささやきに耳を傾ける」

「見よ、そのとき主が通り過ぎて行かれた。主の御前には非常に激しい風が起こり、

山を裂き、岩を砕いた。しかし、風の中に主はおられなかった。風の後に地震が起こった。

しかし、地震の中にも主はおられなかった。地震の後に火が起こった。しかし、火の中にも

主はおられなかった。火の後に、静かにささやく声が聞こえた。」

(列王記上19:11-12)

園 長 塚本吉興

ながーい夏が終わり、ようやく秋らしい気候になってきました。「スポーツの秋」、「芸術の秋」、やっぱり「食欲の秋」と色々とあると思いますが、わたしにとっては何と言っても「読書の秋」です。幼稚園の絵本コーナーにはたくさんの素晴らしい絵本がありますから、お子さんと一緒にいっぱい読んでいただきたいと思いますが、わたしの好きな童話作家のアンデルセンに「絵のない絵本」という作品があります。空を渡る月が、一人の絵描きに空から見た光景を話を語り聞かせています。ある晩、お月様は、小さな女の子が寝る前にベッドの脇でお祈りをしているのを見ました。女の子は「主の祈り」を祈っていました。その子は大きな声で、「わたしたちに日々のパンをお与えください」と祈った後に、小さな声で付け加えたのです。「パンにはバターをたっぷり付けてね。」この祈りもきっと神さまは聞いて、にっこりと微笑まれたことでしょう。

幼稚園には、いろいろな声があふれています。楽しく遊ぶ声、忍者ごっこやプリキュアごっこでなりきっている声、空き箱製作やパズルに取り組み考えながら話す声、おままごとのお母さんの声、そして、「お片付けをしようね~!」という先生の声。大きな声、小さな声、高い声、低い声、笑いをこらえた声、泣きそうな声、いろんな声があります。朝、門に立っていて「おはよう!」と声をかけると、「おはようございます。」と蚊の鳴くような声で恥ずかしそうに返事がかえってくることがあります。「先生、昨日ね・・・」と小さな声で教えてくれることがあります。お友だちと喧嘩をしてしまって、仲直りをする時には、「ごめんね。」、「いいよ。」という声がお互いにささやくような声になることがあります。大きな声にかき消されてしまうような小さな声であっても、本当に大切なことが語られることがあるのです。私たちの生活の中には多くの音があり、テレビから、スマホから、周りの人たちから多くの声が届きます。そんな中で、ささやき声に耳を傾けるのは容易ではありません。でも、子どもたちの心から発せられる小さな声に、そのささやきに耳を傾けていきたいと思います。

聖書の中で、預言者エリヤに救いを語られた主なる神は、激しい風、地震、火の中にはおられず、静かにささやく声として、エリヤに語り掛けられました。身の回りに起きる大きな出来事に気を取られ、騒がしい声ばかりに注意を向けていると、本当に大切な声を聞き逃してしまうのかも知れません。子どもたちは日々成長を続けていて、あっという間に大きくなっていきます。「ママ、あのね…」、「パパ、今日、幼稚園でねぇ…」と語り掛けてくれるのは、何歳まででしょうか。秋の夜長にスマホの画面からちょっと目を離して、子どもたちの声に耳を傾け、ご飯を食べながら、お風呂に入りながら、一緒に語り合うことをぜひ楽しんでください。

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