「HO!HO!HO!メリークリスマス!」
「ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、
布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。」
(ルカによる福音書2章6-7節)
園長 塚本 吉興
クリスマスがやってきます。ようちえんの屋上庭園のツリーにも、こどもたちの手を借りてオーナメントを飾り、イルミネーションを付けました。木のてっぺんには星が輝いています。これから12月25日のクリスマスまでの間、救い主の誕生を告げる星の光です。クリスマスと言えば、サンタさんです。世界各地でクリス・クリングルとか、シンタクロースとか、セント・ニコラスとか、ファーザー・クリスマスなど色んな呼び方をされますが、素敵なプレゼントをもって子どもたちの所にやって来るということは共通しています。でも、そもそもなぜ、クリスマスにはプレゼントなのでしょうか。夜中、子どもたちが寝静まった頃に勝手に家の中に入って来て、ミルクを飲み、クッキーを食べ(しかもご丁寧にクッキーの小さなかけらをお皿の上に残して…)、こどもたちの枕元に欲しかったプレゼントを置いて行く、ひげ面のおじいさん…不思議な伝統です。「サンタさんが来るまで起きているんだ。」とがんばっている子も、本当にサンタさんに出くわしたら、怖がるかも知れません。
クリスマスにはプレゼントというのは、世界で最初のクリスマスに御子イエス・キリストというプレゼントが神さまから世の全ての人に与えられたからです。神さまの愛に満ちた贈り物がクリスマスにお生まれになったイエスさまだったのです。だから、毎年クリスマスが来るたびに、わたしたちはそのことを思い出すために、お互いにプレゼントを贈るのです。
年長組のページェントの中で、ヨセフさんと宿屋さんの歌があります。こんな歌詞です。
ヨセフさん: 「マリアは旅で疲れてます。お願いします。どうぞ宿を♪」
宿屋さん: 「馬小屋だったら空いています。お疲れでしょう、どうぞこちらへ♪」
どことなく懐かしいメロディーですが、この歌の元になった讃美歌は1837年にドイツで作られた「Alle Jahre wieder (また、毎年)」です。その歌詞は、「1.また毎年、幼子キリストが来られる。わたしたちの住むこの世界へ。2.一つ一つの家に祝福を届けられる。わたしたちと一緒に歩んでくださる。3.わたしの傍らに静かに、そっと立っておられる。愛に満ちた御手で導かれるために。」とあります。イエスさまがこの世に来てくださったことを、毎年、クリスマスの時に思い起こすのです。マリアとヨセフが長い旅の後、ベツレヘムを訪れ、宿屋を回りますが、空いているところがありません。「トン、トン、トン、宿屋さん、どうか一晩泊めてください♪」というページェントの歌もあります。「どこのお部屋もいっぱいですよ♪」、「困った困ったどうしましょう…♪」毎年、毎年、イエスさまは、わたしたちの心の扉をたたかれます。「馬小屋だったら空いてます。さあさあどうぞ、お入りください♪」と御子を入れる心の余裕はあるかなぁと思います。クリスマスの時期は年末とも重なり、とにかく忙しくあっという間に過ぎて行きます。でも、ちょっと立ち止まって、子どもたちの演じる最初のクリスマスに思いを向けて、イエスさまのお誕生を静かにお祝いしましょう。サンタさんは「ハハハ!」でも、「ヒヒヒ!」でもなく、「ホゥ、ホゥ、ホゥ!」と朗らかに笑います。それぞれの家庭に良いクリスマスが訪れますように。