2024.10.08 | 今月の園だより
10月園だより
「おいしくな〜れ!おいしくな〜れ!」
「わたしは植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。」
(コリントの信徒への手紙一3章6節)
園長 塚本 吉興
運動会、こどもたちの描いた万国旗がはためき、パリオリンピックの興奮そのままに、ようはのこどもたちが躍動します。お家の方々の熱い声援とは裏腹に、こどもたちはニコニコしながらトラックを駆け巡り、お友だちと健闘をたたえ合い、先生とハイタッチします。たまには、転んだり、リレーで負けたのが悔しかったりして、泣いてしまう子もいますが、周りの子がすぐに「大丈夫?」と慰めてくれます。それも含めて運動会、こどもたちの心にあったかい思い出として刻まれていくのです。
運動会が終わると芋掘り遠足です。毎年、天気が心配な季節ですが、今年も雁ノ巣レクリエーションセンターまで、大型バスに乗って行きます。「今年のお芋さんは大きいかなぁ」と期待に胸がふくらみます。「去年のお芋さんは、かなりスリムさんが多かったねぇ」、「その前の年はふとっちょさんんがいっぱいだったんだよ・・・。」そんなことを話しながら、みんなで歌を歌ってバスの旅です。畑に到着すると(こどもたちが到着する前にお芋掘りサポーターさんが、鍬で畝を掘り起こしてくださいますが、これが大変!)、子どもたちは、色とりどりのシャベルを取り出して、お芋掘り(ところどころお芋拾い)の開始です。次々にレジ袋にお芋さんを入れていく子、ながーい蔓も一緒に持って帰りたい子、「うんとこしょ、どっこらしょ」と一つの大きな芋に集中している子、お砂遊びの方が楽しい子、でも、みんなたくさんのお芋を掘って袋がいっぱいになります。そして、お楽しみのおにぎりタイム、引き続き、畑に隣接した芝生エリアで走り回って遊びます。大人は、畝の掘り起こしと、芋掘りのお手伝いでクタクタですが、こどもたちはエネルギーの塊です。疲れを知らずに遊んでいます。それでも、リュックサックいっぱいのさつまいもを背負ってバスまで歩くときには、さすがに重くて、がんばれ、がんばれ、何とかたどり着き、帰りのバスはあっちこっちでいびきが聞こえます。
幼稚園では天気の良い日に焼き芋をします。アルミホイルに包んだお芋を火にそっと投げ入れて、「おいしくな〜れ、おいしくな〜れ」とこどもたちの声。ほかほかで美味しいお芋が出来上がります。
焼き芋が甘いのは、さつまいもに含まれるβ-アミラーゼという消化酵素が加熱されて糊化したでん粉に作用して麦芽糖という甘み成分が生成されるからなんだそうです。この温度がだいたい70℃前後なので、この温度帯をいかに長くキープできるかが甘くておいしい焼き芋づくりのポイントなのだとも。太くて重いお芋もひょろっと長いお芋も、みんな焚き火の中で炭に温められて甘くおいしくなっていきます。こどもたちも、幼児期に柔らかい土の中でしっかりと養分を蓄えて、幼稚園にやって来ます。そして、周りの人たちの温かさや「大きくな〜れ、おいしくな〜れ」という応援に励まされて、さらに大きく、甘く、しっとりとした焼き芋さんのような素敵な小学生になっていきます。
「成長させてくださったのは神です。」神さまが成長させてくださいます。でも、成長のためには多くの周りの人たちの愛や優しい言葉の栄養が欠かせないのです。