2025.01.07 | 今月の園だより

1月園だより

「大工道具とおじいちゃん」

「わたしたちは神に造られたものであり、しかも、神が前もって準備してくださった善い業のために、

キリスト・イエスにおいて造られたからです。」(エフェソの信徒への手紙2:10)

園長 塚本 吉興

我が家に「うさこちゃんのおじいちゃんとおばあちゃん」の絵本があります。ディック・ブルーナの鮮やかな色使いの絵本で、うちで預かっている3歳の女の子によく読み聞かせています。内容は、うさこちゃんが祖父母を訪ねて行くというもの。おじいちゃんは得意の日曜大工でうさこちゃんの欲しかったスクーターを作ってくれ、おばあちゃんはうさこちゃんに編み物のやり方を教えてくれます。そして、3人で仲良くおやつを食べて、うさこちゃんは家に帰る、という可愛いストーリーです。しかし、わたしにはどうしても気になることが二つあります。まず、「おじいちゃんは だいくしごとが とても すきで とても じょうずです。おじいちゃんは のみと くぎぬきと かなづちを ふたつと のこぎりと まんりきを もっています。」という一文。おじいちゃんは何で金づちを二つ持っているのでしょうか。しかも絵を見るかぎり、ほぼ同じサイズの金づちです…。もう一つは、おじいちゃんがスクーターを作ったという点。お店で売っているスクーターはアルミニウム合金でできています。おじいちゃんはおそらく木製のスクーターを作ったので、それでは強度が足らないのではないか、重過ぎるのではないか、と気になるのです。

私の父親も日曜大工がとても好きで、とても上手です。父の口癖は「ピシッとする」で、ちょっとした棚を作るにしても、きっちりと図面を引いて、その設計図通りに作ります。うちの子どもたちが小さかった頃に寝ていた二段ベッドも前にいた教会の自転車置き場も、おじいちゃんが作ってくれたものでした。それが高じて今は、うちの妹の住んでいる家にサンルームを付けるべく、施工作業の真っ最中だそうです。私も大工仕事は好きですが、父とは異なり、私の設計図はかなりアバウトで、現場であーでもない、こーでもない、とパズルを組み合わせるように作っていく感じで、かえって時間がかかります。でも私の大工道具は「電動のこぎりと インパクトドライバーと サイズの違う金づちと 電動ランダムサンダー」です。とにかくこの電動工具のパワーが大好きなのです。

幼稚園の帳簿とにらめっこしている時は中々時間が過ぎませんが、2×4の板を電動のこぎりでサクサク切っている時は、時間が経つのを忘れます。そもそも、わたしの電動工具愛は、小さい頃に通った幼稚園に木工室(!)があり、電動糸のこや金づちが置いてあって、自由に木切れを組み合わせて工作をすることができたからです。子どもたちが何かに熱中しているとき、真剣に取り組んでいるとき、その目はキラキラと輝いています。私たちは神さまに造られたものとして、何かを作り出す創造性を持っています。それが空き箱製作、粘土、お絵描き、折り紙、切り紙、おままごとの料理・・・何であっても、夢中になって作ることの楽しさと出会って欲しいと思います。そして、そんな子どもたちの背中をそっと押しつつ、見守ってあげられる大人でありたいと願っています。

先日、ある所でうちの3歳児といた時、「お孫さんですか?」と聞かれました。とっさに言葉が出ませんでしたが、まあ、おじいちゃんと言われても不思議ではない年齢(風貌?)になってきました。でも、まだしばらくは電動工具を振り回して、幼稚園で土曜大工に精を出すおじいちゃんでありたいと思います。

2025年もよろしくお願いいたします。

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